構造物の高所点検をドローンで効率化

建築物や構造物の維持管理では高所点検の際の仮設足場費用と設置期間や位置などがネックで、簡単に点検をする事ができないという状況に遭遇します。
特に急な雨漏れや風災害など突発的に発生すると、対応に苦慮します。

そんな際に活躍するのが点検に特化したドローンの活用です。
インフラ事業者や警備会社で導入が進んでいるのがアメリカの企業が開発したSkydioを日本仕様にチューンしているSkydio J2(現在はアプリのバージョンアップでSkydio AEFと呼称している場合があります)です。

このドローンには大きく2つの特徴があります。
1.自機の周りを360°画像認識し障害物を回避して飛行できる
2.撮影用カメラが上部90°までチルトでき、軒天井や床版を撮影できる

少し詳しく説明しますね。

1番目の「自機の周りを360°画像認識し障害物を回避して飛行できる」について。

現在一般的になっている空撮機ではセンサーにより自機の周りの障害物を検知します。
機体によっては360°のものもありますし、一部だけに限られるものもあります。
このセンサーがワイヤーやパイプなど比較的細い形状のものが認識しにくい傾向があります。

私も他社製空撮機でセンサー性能テストをした時に、足場用の単管をかわす事ができずに接触してしまいました。
こういった形状でもSkydioは画像として認識しますので、かなり精度良く回避行動をしてくれます。
※もちろんパーフェクトではありませんので過信は禁物です。
グリーンネットなどは残念ながら正確に認識できませんので、そういった部分ではパイロットの操作で回避してください。

この障害物回避性能は他のドローンよりも格段に上で、建設現場やインフラ構造物などの狭小部での点検を可能とします。

2番目の「撮影用カメラが上部90°までチルトでき、軒天井や床版を撮影できる」について。

通常の空撮機のカメラの上方は水平もしくは30°弱(機種によってバラ付きがあります)程度までしか上げることができません。
その為、構造物の下から上に向かって点検したい場合には使えない事が多いです。

このSkydioは90°まで上方チルトが可能なので、真上の撮影をする事が可能です。
特にこの機能により鉄骨や床板の真下から漏水やクラック、錆付きなどの近接点検を簡単に行うことができますね。

メリット大きく書きましたが、全てにおいて性能が良いという訳ではありません。
他の機体と比較して残念な点もそれなりにあります。

少し記載しますと、
・通信がWi-Fiなので非常に弱く、あまり離れると操作できなくなる
・スティック操作感が独特で、細かな操作がしにくい
・一般販売しておらず、レンタル契約となる

他にもありますが、大きくはこの様な点ですね。
とは言えドローンは適材適所で選んで使うのが正解ですので、それぞれの機体特性を知り、使いこなしていく能力も必要となります。

最後に、このSkydioでテストフライトした時の動画を参考に掲載します。
単管足場で組まれた狭小エリアを飛行できるのはこの機体にしかできない事だと思います。

日々の点検業務で効率的に活用してみて下さい。

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